2007年3月26日月曜日

1990年代~ナリのコト~(13)

「あたしね、はじめてKさんがOA課に入ってきたとき目で追ったもん」

「え? めちゃめちゃ緊張してたでしょ?」

「うん! それがよかったのかも。でも、濃い顔好きなのよ」

「ぷっ! すんませんね濃くって!」

告白なのかなんなのか、よくわからない会話だった。ただ、ナリは積極的な女性であることはよくわかったし、オレ的にはそれが会話をする上でいいリズムとなっていた。そう思っていると、唐突に

「昨日の朝さ、受付にいたでしょ? タケダちゃん、なんか言ってた?」

「いや、ウチのオヤジと彼女の叔父さんが知り合いらしくて、そんな話をしただけですわ」

これは本当の話だが、とっさに話をつくったのはたしかである。

「あ、そうなんだ。てっきり先を越されたかと思ってた」

「先を越す?」

「だって、タケダちゃん、Kさんに声かけるって言ってたからね」

「ナリにはないしょ」の意味がここで明かされた。しかし、そうだとしてもナリにその気がなければ「ないしょ」にする必然性はない。先ほどの前フリから、ひょっとして? というスケベ心がオレの中にわいてきていた。だが、こういうシチュエーションでも簡単にそれを行動に移せないのがこの頃のオレだった。

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