「食べましたね~」
「行こっか?」
「はい」
お勘定をしに出口へ行くと、彼女は「ごちそうさま♪」と言い先に外へ出て行く。はっきりしていてかえって気持ちがいい。
「おおきに。またお待ちしてます!」
女性店員の元気な声に見送られ店の外へ出ると、彼女は初夏の夜の風に吹かれて気持ちよさそうにしていた。オレは、その横顔にしばし見とれていた。その視線に気づいたのか、こちらを向く彼女。
「ごちそうさま! って、顔に青ノリでもついてる?」
「え? いや、ついてませんよ。・・・気持ちよさそうな顔してましたね」
「そう? いい風なんだもん」
「家、どっちですか?」
「あっち」
子どものような素直な答えに苦笑しながら、彼女が指差した方向、つまり七条通りを西へと歩き出した。本当に気持ちのいい風の夜だった。仕事のことなんかを話ながら、しばらく歩くと彼女は言った。
「Kさん。あたしのウチ、もうそこなの。よかったらお茶入れるよ?」
「いいんすか?」
「うん。狭いトコだけど、よかったらどうぞ」
「じゃあ、ちょっとだけお邪魔しますわ」


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