2007年3月29日木曜日

1990年代~ナリのコト~(15)

「あぁ、おなかいっぱぁ~い♪」

「食べましたね~」

「行こっか?」

「はい」

お勘定をしに出口へ行くと、彼女は「ごちそうさま♪」と言い先に外へ出て行く。はっきりしていてかえって気持ちがいい。

「おおきに。またお待ちしてます!」

女性店員の元気な声に見送られ店の外へ出ると、彼女は初夏の夜の風に吹かれて気持ちよさそうにしていた。オレは、その横顔にしばし見とれていた。その視線に気づいたのか、こちらを向く彼女。

「ごちそうさま! って、顔に青ノリでもついてる?」

「え? いや、ついてませんよ。・・・気持ちよさそうな顔してましたね」

「そう? いい風なんだもん」

「家、どっちですか?」

「あっち」

子どものような素直な答えに苦笑しながら、彼女が指差した方向、つまり七条通りを西へと歩き出した。本当に気持ちのいい風の夜だった。仕事のことなんかを話ながら、しばらく歩くと彼女は言った。

「Kさん。あたしのウチ、もうそこなの。よかったらお茶入れるよ?」

「いいんすか?」

「うん。狭いトコだけど、よかったらどうぞ」

「じゃあ、ちょっとだけお邪魔しますわ」

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