「お邪魔しまぁす」
そう言って奥へと通されると、テーブルの一辺に据えられた座布団に座った。
「コーヒーでいい? なんだったら焼酎もあるけど?」
「あ、いや、コーヒーでいいっす。って、なんで焼酎があるんです?」
「お父さんが来たときに呑んで、そのまま置いていったのよ」
「あ、なるほど。九州ですもんね」
コーヒーメーカーがコポコポという音をたてている。
「そう、福岡。はい、お待たせ~」
そう言いながら、彼女は小さな丸いお盆にマグカップをふたつ置いて運んできた。ふたりでコーヒーをすすりながら彼女は言った。
「彼女いない歴ってどれくらい?」
「いきなりですね~。ん~、半年くらいかなぁ。外川さんは?」
「ないしょ」
「あ、ずるい! 人に言わせといて~」
「あは! ごめんね」
「ま、いいっすケドね」
「で、その人、どんな人? なんで別れたの?」
「そんなポンポン言わんといてくださいよ。・・・・・ん~っと、歳が離れてていろいろ合わない部分があったんですわ」
「別れるとき、Kさんから言ったの?」
「ん~、まぁ結果的にはそうなるんかなぁ」
「いくつ離れてたの?」
「5歳」
「あたしとKさん、みっつ違うのって気にする?」
「いや、別に。ていうか、あんまり気にしないタチなんですわ」
「じゃ、あたしになんで敬語なの?」
「え? だって、職場の先輩だし・・・・・」
そうなのだ、オレは気にしないと言いながらも年齢の上下を無意識に気にしていた。そして、なぜかそれは今だに直っていない。
「じゃあ、ふたりでいるときは敬語なしにしてって言ったら、Kさんどうする?」


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