次の日の朝、社の玄関先で会ったヤマダは眠そうな顔で開口一番そう言った。
「お疲れっす。うわ、眠そうな顔。ヤマダさん、ウチ帰ったん何時ですのん?」
「ん~、2時ごろかな。アキタ送ってったし」
「で?」
「なにが?」
「あ、そいうボケはなしですよ。タケダさん押し付けといて。」
「知らんがな。まぁ、そういうこっちゃ」
「どんなやねん? まぁ、なんとなくわかりましたわ。お幸せに」
眠そうな顔にニヤリと笑みが浮かぶヤマダ。やれやれと思いながら部署に向かう途中、受付を見るとタケダ嬢がいたって普通に座っていた。オレも普通に
「おはようございます」と挨拶をすると
「おはようございます」と、にこやかに返すタケダ嬢だが、よく見ると小さく手招きをしている。受付に近づくと、タケダ嬢はオレの袖を引っ張って奥の休憩室に連れていった
「もう! なんでアタシのこと置いて帰ったん? ひどいやん」
「えぇ? だってあの店のオールバックの兄ちゃんがそうしろって言うたんですよ」
「そうなん? まぁ、ええけど。でも、ホンマはつれて帰ってほしかってんで」
「すんません。わかりました。次回はそうします」
「ホンマ? 絶対やで!」
と、うれしそうに笑うタケダに
「ただし、次回があればですけどね」
「ひっどーい!」
そう言うタケダ嬢から逃げるように休憩室から小走りに出ようとした。オレが出るのと同時に入ってくる人物に思わず激突しそうになった。
「きゃっ!」
「おわっ!」
びっくり顔のナリがそこに口を押さえて立っていた。


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