ナオミさんの声に迎えられて入ってきたのは常連のマサちゃんだった。数年前にここで出会って以来、オレにとっても良き呑み仲間である。
「Kちゃん、おはよー。ここんトコひまやね~」
「おはよー、マサちゃん。おたがいにね~」
仕事の業種がおんなじだけに、おたがいに言わなくても分かり合える部分が多い。オレのとなりに座ったマサちゃんは、オレとおんなじようにコロナをオーダーし、それぞれのビンを軽く合わせる。
「なんか、元気ないんちゃうん?」
「そう? ちょっと寝不足ぎみやケドね。って、オレそんな元気ない顔してる?」
「ん~、ちょっとそう見えただけや」
「いや、今、トモにええ話聞いて感心してたんよ」
「え? なになに? トモちゃん?」
急にフられて、トモは目を大きく見開いている。オレは、その表情がおかしくて笑いながら
「いや、なに。さっきの話や。女の子が彼氏に求めるものっちゅーやつ」
「あぁ、あれね。って、急にフらんといてよ~」
笑うオレとトモを見ながら、マサちゃんは、少し考えて言う。
「優しさってコト?」
「だけ、じゃないんだなぁ~」
図らずも、オレとトモはハモると大笑いになった。
「優しさと刺激よ、シ・ゲ・キ♪」
と再び、オカマチックな口調でマサちゃんの耳元でささやくオレ。
「そっかぁ。なるほどね。でも、男ってそんなコト考えたコトないやんね」
「まぁね。優しさは相手が好きやったら、ある程度は自然についてくるもんやしね」
男ふたりの発言を聞いてトモは言う。
「意識してするコトじゃないし、意識して女の子側も与えてもらうもんでもないんよ、たぶん」
それを聞いてオレは言った。
「深いな、トモ」


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