2011年10月25日火曜日

1990年代~ナリのコト~(55)

現地集合ということが、いまだにオレとの仲を公表したくないナリの気持ちを表現していることはわかっている。まぁ、しょうがない。いずれは………と思う。

昼を知らせるベルとともに、とくに問題なさそうなのを確認し部を出た。

「お昼いってきまーす」

「はーい」

とイカワの声だが、最後の「い」はほとんど聞こえずに外へ出ていた。

初秋のさわやかな風と、まだ夏の名残りの日差しの中、烏丸通りを自転車で南下していくオレ。

ルネサンスビルは、京都駅中央口を出て東側にある雑居ビルで、多種多様な飲食店が入居している。

自転車を止めてビルに入っていくと、ナリはすでに来ていた。

「もぉ! 飛ばしすぎ!」

笑顔ながら口をとがらせて言う。

「あ! ごめんごめん! つい」

と、知らず知らずうちに飛ばしてたことに気づかされる。

「あははw さ! おなかすいた、行こう♪」

「あぃよ!」

と、ふたりでエスカレーターを上っていった。
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2011年10月16日日曜日

1990年代~ナリのコト~(54)

帰宅しシャワーを浴び、朝日を見ながらタバコをくゆらせていた。

顔がゆるんでだらしないであろうと、自分でも想像がつくほど満ち足りた気分だった。

まだ、ほんのりと香る自分自身を感じていると電話が鳴った。

「おはよー♪」

ナリだ。

「おは♪ 目ぇさめたw?」

「うん♪」

「よかったw で、ランチどぉする?」

「うん、あのね、駅前のルネサンスビルってわかる?」

「駅前の? あぁ、向かって東っかわの?」

「そそ♪ あそこの2Fのイタリアンってランチバイキングやってんのよ。12:15にビルの1Fにフロアで待ち合わせない?」

「了解♪」

「んじゃ、楽しみにしてるね♪」

「あぃよw じゃ、遅刻したらアカンでw」

「あたしw? 冗談でしょw Kさんこそね♪」

「あははw 了解♪」

満ち足りた朝から1日が始まった。
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2011年10月8日土曜日

1990年代~ナリのコト~(53)

香りをまとって一夜をともにしたオレたち。

初めての体験といっていい感覚だった。

夜明け前に目が覚めたオレは、自宅マンションに帰ってシャワーを浴びようと思った。

彼女は

「…うん。…わかった」

まだ半分寝ている。

「じゃ、また会社で会おう」

「…ん~、…うん♪」

「まだ早いからゆっくり寝てや」

「…うん、…ありがと………、あ」

「ん?」

「…あのね、…Kさん、… …今日、お昼いっしょに食べよ♪」

「ん? ええよ♪ でも、どこで?」

「… … …ん~とぉ~、朝、電話するw」

「w 了解♪ じゃ、あとで、電話待ってるわ」

「…うん♪」

「じゃ、おやすみ♪」

「…あははw おやすみ♪」

笑顔とも寝顔ともつかない顔の彼女に別れをつげ、夜明け直前の道を歩いて5分ほどの道を帰宅した。

満ち足りた朝帰りだ。
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2011年9月29日木曜日

1990年代~ナリのコト~(52)

「……」

「早く早くw」

「…どこにつけたらええのん^^;?」

「…あはw! そっかw あのね、まず手首に押し付けてみたらいいよ♪」

おそるおそる言われたとおりにしてみるオレ。ボトルの口を左手首に押し付けてみる。そして、そのままボトルをひっくり返すと、注射のときのアルコール消毒のようなひんやり感がした。

「…これでええのん?」

「そぅそぅw!」

楽しげなナリが微笑みながら言う。

ボトルをもどして離す。そしてボトルにキャップをする。

ほんのり柑橘系のような香りがして、それが自分の香りだと思えないような不思議な感じがした。

「どぉ? いい香りでしょ??」

「うん。なんか不思議な感じや」

「あははw! 最初はそうかも? でも、きっと慣れたら香りなしにいられなくなるかもw」

「そぅなん? それも困るかもw」

「でもね、なんか自分の変化を楽しむっていうの? そんな感じがするのよ」

「あ、うん、その感覚、わかる気がする」

「よかった♪」

「意外な発見やなぁw おおきに♪」

「いぇいぇw」

本当に不思議な感覚である。ユギの気持ちもわかる気がしてきた。彼は学生時代から常に彼の香りをまとっていた。臭いとは思わないまでも、どこかで理解できない存在であった。

「…Kさん」

「ん?」

新たな感覚との出会いに浸るオレに彼女はストレートに言った。

「…抱いて。その香りのKさんに包まれたいの」

「…ええよ。おぃで」

その夜、オレたちは二回目の邂逅と、初めて朝までともに過ごした。

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