午後は創立以来の歩みの編集でワープロとの格闘で終業時間を迎えた。
と同時に、部長はカバンを手に立ち上がり
「お疲れさ~ん」
と、笑顔で部屋を出ていく。
「お疲れ様でした!」
と、次長以下、主事、イカワ、オレが言う。
さて、オレも帰ろうかなと思ったとき、ミヤカワ次長の声。
「あ、Kくん、ちょっとえぇかな?」
と、手招きをしたので
「あ、はーい」
と、次長席の方へと向かう。
「Kくん。正社員になる気、ある?」
唐突に言われて
「え? ・・・そ、そうですね・・・」
「もし、その気あるんやったら、来月の採用試験、受けてみたらどぅ?」
と、次長は笑顔で言う。
返答に困っていると
「考えてみてよ。って言ってもあんまり時間ないんだけど」
「は、はぃ。考えてみます!」
と、答えるのが精いっぱいであった。
実際、思ってもなかったというか、あまり先のコトを考えていなかった。
今であれば、すぐケイタイでナリに電話かメールしていたかもしれないが、まだそんな時代ではなかった。
さて、どーしたもんか?
と、考えながら退社したものの、自転車は自宅マンションとは反対の方向へと向かった。

