「ごめんなさい。待ちました?」
「いや、タバコ一本分だけですわ」
「あはは!」
笑いながら並んで店に入る。店は半分ほどの入り。まずは生ビール、続いて枝豆とミックスのお好みをオーダーする。まずはジョッキを鳴らし乾杯。
「Kさんて、ヤマダさんの後輩なんでしょ」
「そうですよ。あんなおっさんくさい顔して、歳いっこしか違わへんのですよ」
「あぁ、言っちゃお!」
「ぜんぜんオッケーっす! 本人にいっつも言うてますもん」
「そうなんだ」
九州出身だけに京都弁ではないのがかえって新鮮だった。ふとそこで、先日のタケダ嬢のヒトコトを思い出す。「今夜のこと、ナリにはないしょやで」というヒトコトだ。しかし、その理由はよくわからない。そう思っているところに大きめのミックスお好みがチリトリのような形の鉄板に乗せて運ばれてきた。それをオレたちの前にあるあつあつの鉄板に乗せ替えるのだ。豚肉、エビ、イカ、餅などがのったお好みがソースの香ばしい香りを発していた。
「おいしそ~!」
「うまそ~!」
お互いにそれぞれの言葉を同時に発し、顔を見合わせて笑った。あちち、あちちと言いながらそれを頬張る。
「うまいっすね!」
「うん! おいしー!」
オレは、すでに二杯目のジョッキを注文し、お好みをガツガツ食べていた。
「本当においしそうに食べるね」
「よう言われますわ」
「ねぇ、Kさんて彼女いるの?」
唐突な質問にむせそうになるオレ。
「え? いやあ、今はいませんけど。イキナリなんですのん?」
「あはは! ごめんごめん。あたしらの関心ごとなんだもん」
「あたしらて?」
「んと、タケダちゃんとか、アキタちゃんとか」
「へぇ~。オレなんかがそんなに注目されてるんですか?」
先日のことを隠すために、あえてとぼけておいた。タケダ嬢と会ったことが秘密なら、今夜ナリと会ったことも当然秘密なのだろうと考えたからだ。


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